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PROLOGUE

開催にあたって

水辺を愛し、その可能性を信じて都市再生やまちづくりに取り組む多彩なゲストを世界各国からお招きして、ともに議論しあう世界運河会議を、ここに開催する運びとなりました。

始まりは、中川運河でした。
名古屋の真ん中を流れ、「東洋一の大運河」と呼ばれた中川運河は、名古屋港と旧国鉄笹島駅を結ぶ水上輸送の大動脈として昭和5年(1930年)供用開始され、1960年代半ばまで「ものづくり名古屋」を支えてきました。沖合の大型貨物船へ陶磁器などの輸出品を運び、鉱石や綿を積んで運河を上る。無数の艀が行き交った中川運河は名古屋の発展になくてはならない物流の要だったのです。

今は静かな水面に建ち並ぶ倉庫群を映す中川運河。
名古屋にも、こんなにも美しい水辺空間があった――。中川運河への“気づき”は、思いを同じにする人々を集め、2010年市民プロジェクト「中川運河キャナルアート」がスタートしました。そのあゆみは、運河周辺をコスモスで埋め尽くす「コスモスプロジェクト」から始まり、アートイベント、シンポジウム、中川運河再生計画作成のきっかけづくりへと、多くの市民、アーティストを巻き込んで広がっていきました。

このあゆみを止めてはならない。私たちはそう考えます。
今や世界的な潮流となった、水辺を活かしたまちづくり。世界運河会議を通して、その先進事例に謙虚に、貪欲に学び、市民、クリエーター、行政、企業などあらゆる人々をつなげて、中川運河の持つ高いポテンシャルを最大限に発揮する、新たな地平をめざしていきます。
同時に、運河とは何か、水辺とは何か――世界的な視点で議論することで、水辺の大切さを共有しあい、豊かに持続する水辺空間の可能性を探ります。

次代のイノベーティブな水辺空間を創出するのために、世界の英知が集まる。
それが世界運河会議です。