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DECLARATION

ご挨拶

名誉実行委員長 水野 明久 中部電力株式会社 取締役相談役
 

「運河」は、古くから物流や治水など多方面に大きな役割を果たしてきました。
この名古屋においても、中川運河が昭和7年に全線供用され、名古屋港と旧国鉄笹島貨物駅を結ぶ水運機能および市中心部の治水機能を受け持つ施設として、名古屋の経済・産業の発展および市民の生活を支えてきました。
その後、昭和40年代からの道路網の充実などによるトラック輸送へのシフトにより、中川運河の役割は縮小しましたが、平成24年に名古屋市および名古屋港管理組合において、概ね20年先を見据えた「中川運河再生計画」が策定され、中川運河の水辺に交流・創造の場の創出や歴史まちづくりの展開など、新たな息吹を注ぎ、次の世代に継承していく計画が示されました。
今や水辺を活かした魅力あるまちづくりは、世界的な一大潮流になっています。このたび、地元の自治体や企業・経済界からご支援をいただき、「世界運河会議NAGOYA2020」を開催する運びとなりました。
会議では、中川運河をはじめとする名古屋の水辺に感動と憩いの空間を創出することを目指し、国内外から水辺を活かした街づくりにさまざまな経験、知見を持った方々をお招きし、先進事例を学ぶ中でこれからの中川運河を徹底的に議論してまいります。
中川運河などの水辺空間整備を通じて名古屋が、世界に誇れるより豊かで、より潤いある都市へと発展することができるよう、今回の世界運河会議を通じてその気運を盛り上げるべく様々な企画を用意しております。
世界運河会議へのより多くのみなさまのご参加をお願い申し上げます。

実行委員長 奥野 信宏 公益財団法人 名古屋まちづくり公社上席顧問 名古屋都市センター長
 

世界運河会議が令和3年5月21日から23日にかけて名古屋市で開催される。中川運河は昭和初期から港と都心を結ぶ水上輸送路として活用され、高度成長期には名古屋の産業展開を担う大動脈だった。物流輸送の主力が船舶からトラックに移ると役割は急速に縮小したが、運河の広大な水面が共有の産業遺産として後世の市民に託された。
名古屋圏は、政府の計画で「世界最強・最先端のものづくり圏域」「ものづくりの研究開発の世界的拠点」と位置づけられているが、ここに至るまでの名古屋圏の発展は、中川運河を抜きにしては語れない。
政府が推進しているスーパーメガリージョン構想はリニア中央新幹線で三大都市圏を結び、スピードで集積の利益を追求して日本の成長のセンターにするという構想だが、名古屋はその心臓部に位置する。
名古屋駅の鉄道による2時間圏人口は、新大阪の2倍、品川とほぼ同じ規模になり、ビジネスや観光等での将来の可能性は高い。
中川運河は名駅エリアの新たな観光資源である。2017年に港と笹島を結ぶ水上交通「クルーズ名古屋」の運航が中川運河で開始された。大都市の中心部に広がる広大な水辺空間や、名古屋港との潮の干満差による水位を調節する中川口閘門などは観光資源として貴重だろう。
また中川運河は市民の憩いの場としての期待も高い。戦後すぐの時期には国民体育大会のボート競技の会場として使用されたそうだが、圧迫感のない水辺は憩いの場として市民に親しまれるだろう。
中川運河は、民間と行政が共同で護り育てて現在に至っている。世界運河会議は市民が中心となった活動を経済界と行政が支援して実施される。中川運河の現代における意義が市民に再認識され、また国内・海外に情報発信されるまたとない機会になると思う。